Text Storage (日記以外のテキスト)
The Limits 2006 限定戦最強位決定戦 参戦報告書
(プレイヤーレポート)

Written by Satoshi "オサ" Kobayashi@北信丸山流後継者 (※編注1)

緒言

 昨年のグランプリ新潟の敗戦にてリミテッド力の不足を痛感した私は、8年という長いマジック暦の中で初めて構築を完全封印し限定部門に専念することにした。そして、限定戦専念から1年3ヵ月後、私は Limits 信越B予選の決勝で親友であり最大の敵である大西 (※編注2) を「額縁をはずす」ことにより退け、選ばれた16人の一人になった。

 ここに地元密着型中堅プレイヤーの挑戦が始まった。

目的

 今回が初開催である Limits に参戦した一選手としてその戦跡を記すと共に、報告書を書くことでこれからの自分の課題を考察するとともに糧にするため。

戦跡
シールド戦

 本戦までの2ヶ月間、ひたすら練習してきたのがシールドである。逆に言えば本戦においては、このシールドで勝てなければ私の決勝ラウンド進出は皆無である。

 渡されたパックを開き色別に分けてみる。黒は除去が少なく、赤は《分解/Disintegrate (TSB)》があるもののそれぐらいでタッチ赤と判断できる。白は《聖なるメサ/Sacred Mesa (TSB)》、《セラの報復者/Serra Avenger (TSP)》、といるがメインにはすえづらい。青もやはりトップカラーになるほど役者は揃っておらず、緑も各マナ域に生物はいるが到底トップカラーにはならない、ただ《クローサの英雄、ストーンブラウ/Stonebrow, Krosan Hero (TSP)》がいる。

 この伝説の生物の存在のおかげでトップカラーの見当たらないカードプールからデッキを構築するヒントを得た私は少ない構築時間で以下の様なデッキを構築した。

WGRb Sealed Deck
Both of you, Dance like you want to win!!
Sealed (TSP) : Played by Satoshi "オサ" Kobayashi
■ メインデッキ (40枚)
 5  森/Forest
 4  山/Mountain
 6  平地/Plains
 1  沼/Swamp
 1  溶鉄の金屑場/Molten Slagheap (TSP)

 1  アムローの求道者/Amrou Seekers (TSP)
 1  玄武岩のガーゴイル/Basalt Gargoyle (TSP)
 1  城の猛禽/Castle Raptors (TSP)
 1  遍歴の宿命語り/Errant Doomsayers (TSP)
 1  ちらつくスピリット/Flickering Spirit (TSP)
 1  流動石の媒介者/Flowstone Channeler (TSP)
 1  ゴブリンの空切り/Goblin Skycutter (TSP)
 1  ジェディットの竜騎兵/Jedit's Dragoons (TSP)
 1  ナントゥーコのシャーマン/Nantuko Shaman (TSP)
 1  暗影の蜘蛛/Penumbra Spider (TSP)
 1  スクリブのレインジャー/Scryb Ranger (TSP)
 1  セラの報復者/Serra Avenger (TSP)
 1  紡績スリヴァー/Spinneret Sliver (TSP)
 1  クローサの英雄、ストーンブラウ/Stonebrow, Krosan Hero (TSP)
 1  地盤の悪鬼/Tectonic Fiend (TSP)
 1  ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec (TSP)

 1  聖なるメサ/Sacred Mesa (TSB)
 1  暗殺/Assassinate (TSP)
 1  裂け目の稲妻/Rift Bolt (TSP)
 1  明日への探索/Search for Tomorrow (TSP)
 1  分解/Disintegrate (TSB)
 1  補強/Fortify (TSP)
 1  数の力/Strength in Numbers (TSP)

□ サイドボード (?枚)
 (不明)

 見てとおりシールドの禁じ手の一つ、3色均等になっている。しかも除去の枚数が足りないという理由でタッチ黒までしている。マナ域はよく構成されているが、これだけのものを回せるだけの人間力があるかどうかが焦点になった。

Round 1
 vs. Itaru Ishida / 2-0

 正直、この時点で1敗スタートを覚悟した。相手は少しでもマジックというカードゲームをかじった事のある人間であるなら一度は名前を耳にする方である。私のような日陰でマジックを続けてきたような人間と戦う機会が訪れるとは思わなかっただろう。何はともあれ誰が相手であろうがやることは一つである。相手は同じ人間、そう決意し試合を開始した。

Duel 1.
 一見すると、かなり思わしくないハンドであった。初手は《沼/Swamp》と《平地/Plains》しか土地が無かった。マリガンが視野にはいるが額縁を外すことを決意しキープする。結果都合のいいランドツモを繰り返し流れるようなビートダウンと相手生物の除去に成功する。そのまま押し切って一本先取する。

Duel 2.
 それなりのハンドをキープする。相手に開始早々《大いなるガルガドン/Greater Gargadon (TSP)》を待機される。奴の待機が明ける前に勝負を決めなくてはならない。ところが、こちらが稚拙なビートダウンを敢行している間に完全なゲームプランを組み立てられてしまう。

 …が、これをひっくり返したのが《聖なるメサ》、そして相手のライフ分の《分解》だった。

Round 2
 vs. Takuya Oosawa / 2-0

 この方も自分の中では戦いたくない相手であった。名の知れた強豪と地方都市の日陰でマジックをする私、どう考えても力の差は歴然としている。逆立ちしても勝てる相手ではないそう思っていた。

 しかし、一本目はコモンパワーと《分解》で勝利し、二本目も相手の《幽体の魔力/Spectral Force (TSP)》を何とかいなして勝利を手にすることができた。試合終了後、なぜ勝てたのか全く理解ができないまま、ずっとマジックの「理」について考えていた。

Round 3
 vs. Ryuuichirou Yamada / 2-0

 山田さんはこの大会で一番迷惑をかけたプレイヤーだったと思う。この場を借りて感謝したいと思う。とても品のあるプレイングやマジックに対する姿勢が見られた。腐りかけで無作法な私とは大違いで羨ましかった。

 しかし、作法や姿勢といったものがマジックの試合では勝敗を左右することは無いようだった。一本目、二本目をほぼ一方的にビートダウンで勝利し、シールドを三戦全勝で折り返すことになった。

戦跡
ロチェスタードラフト戦

 私はこの競技は全くやったことが無かった (※編注3) 。練習は一応したが、それでも知らないよりはマシ、という程度だった。実力はほぼ皆無だろう。

 自分の上が力強い赤緑を構築している下で細々と黒赤をメインでピックし何とか黒赤を構築することができた。周りのピックしていた物と比べて自分のピックしたものはかなり見劣りした。それでも、あるもので組むしかない、そう思い以下のようなデッキを構築した。

BR Rochester Deck
En Aranjuez Con Tu Amor
Rochester Draft (TSP) : Played by Satoshi "オサ" Kobayashi
■ メインデッキ (40枚)
 5  山/Mountain
 11 沼/Swamp

 1  基底スリヴァー/Basal Sliver (TSP)
 1  肥満死体/Corpulent Corpse (TSP)
 1  蠢く肉裂き/Drudge Reavers (TSP)
 2  ゴルゴンの世捨て/Gorgon Recluse (TSP)
 1  屍術師リム=ドゥール/Lim-Dul the Necromancer (TSP)
 2  奈落の守り手/Pit Keeper (TSP)
 1  ヴェク追われの侵入者/Trespasser il-Vec (TSP)
 1  アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage (TSP)
 1  吸血スリヴァー/Vampiric Sliver (TSP)
 1  粘つく霊命/Viscid Lemures (TSP)
 1  ダウスィーの殺害者/Dauthi Slayer (TSB)
 1  ワイルドファイアの密使/Wildfire Emissary (TSB)

 1  ファイレクシアのトーテム像/Phyrexian Totem (TSP)
 2  暗殺/Assassinate (TSP)
 2  燃焼/Conflagrate (TSP)
 1  精神攪乱/Mindstab (TSP)
 1  病的な出来事/Psychotic Episode (TSP)
 2  闇の萎縮/Dark Withering (TSP)
 1  堕落の触手/Tendrils of Corruption (TSP)

□ サイドボード (?枚)
 (不明)

 確かこれにほぼ近い構成だったと思う。何とかテンポだけは重視して作ったものだが不安が残る。

Round 4
 vs. Masashiro Kuroda / 1-2

 上位に残ることとはすなわち茨の道を歩いていくことらしい。ネットや雑誌では散々お目にかかってはいるが本物を見るのは初めてだったし、しかも戦うことになるとは思わなかった。

 別にこれといった気負いはこの時点ではなかったが、もつれた3本目にプレイングミスをして敗北を喫することになる。さすがに素人のミスを見逃すような方では無かったということだろう。

Round 5
 vs. Ryouhei Kozakai / 2-0

 1敗をしてかなり緊張が薄れた私の相手は青緑白を使う相手だった。ただ、不運なのが1本目、2本目と相手がダブルマリガンをしてマジックが楽しめなかったということか。

 しかし、ダブルマリガンをした後でも相手のデッキは動く動く。マリガンなしだったら余裕で負けていただろう。相手の《ダークウッドのベイロス/Durkwood Baloth (TSP)》を除去しようとして撃った《闇の萎縮/Dark Withering (TSP)》を《吸収するヴェルク/Draining Whelk (TSP)》でカウンターされたときは本気で漏らしそうになった。何とかライフを1残して勝利。

Round 6
 vs. Ryuuichirou Yamada / 1-1-1

 本戦は順位にあわせて対戦の組み合わせをするので、同じ相手と複数あたることがある。そんなことで今日2度目の対戦になる山田さんが1日目最後の相手だった。

 結果は自分のプレイミスと相手の小奇麗なプレイングで3戦目までもつれたが決着は付かなかった。ただ、自分にもう1ターンあれば《山/Mountain》ドローの《燃焼/Conflagrate (TSP)》フラッシュバックで勝ちだったのだが、こればかりはしょうがない。

1日目総括

 結局一日目の成績は4勝1敗1分けで暫定2位であった。

 この時点でマジックに疲れていた私は明日までにモチベーションをどう上げるか試行錯誤していた。今回の目標は決勝ラウンドまで勝ち残ることである。何とかそのことを意識し、マジックに対するモチベーションを上げようと頑張りつつ見知らぬ土地での夜が更けていった。

戦跡
ブースタードラフト戦

 二日続けてマジックをするのは今の自分にはとても難儀なことだったことは間違いない。技術の無い私がマジックで勝つために日々磨いているのが「感覚」と「精神力」である。それを一番発揮できるのは「どれだけマジックがやりたいか」によるため、二日目は私にとって地獄だった。そしてどこかに「なんとなくやってれば勝てるんじゃね」と考えている自分もおり、この全国から選りすぐられた人間の中では最低最弱のプレイヤーに成り下がっていた。

 そんな中で始まったブースタードラフト、友好ドラフトをして赤黒にまとめて以下のようなデッキになった。

BR Draft Deck
Cross up
Rochester Draft (TSP) : Played by Satoshi "オサ" Kobayashi
■ メインデッキ (40枚)
 7  山/Mountain
 10 沼/Swamp

 1  炎の刃のアスカーリ/Blazing Blade Askari (TSP)
 1  ボガーダンの憤怒獣/Bogardan Rager (TSP)
 1  蠢く肉裂き/Drudge Reavers (TSP)
 2  炎核の精霊/Flamecore Elemental (TSP)
 1  ゴブリンの空切り/Goblin Skycutter (TSP)
 1  ゴルゴンの世捨て/Gorgon Recluse (TSP)
 1  マナを間引くもの/Mana Skimmer (TSP)
 1  ベラドンナの暗殺者/Nightshade Assassin (TSP)
 1  卑屈な騎士/Skulking Knight (TSP)
 1  アーボーグの吸魂魔道士/Urborg Syphon-Mage (TSP)
 1  粘つく霊命/Viscid Lemures (TSP)
 1  なだれ乗り/Avalanche Riders (TSB)
 1  悲哀の化身/Avatar of Woe (TSB)

 1  虚弱/Feebleness (TSP)
 1  結核/Phthisis (TSP)
 1  冥界への呼び声/Call to the Netherworld (TSP)
 1  闇の萎縮/Dark Withering (TSP)
 1  溶岩の斧/Lava Axe
 1  オークの連続砲撃/Orcish Cannonade (TSP)
 1  絞殺の煤/Strangling Soot (TSP)
 1  突然のショック/Sudden Shock (TSP)
 1  捕縛の言葉/Word of Seizing (TSP)

□ サイドボード (?枚)
 (不明)

 確かこれにほぼ近い構成だったと思う。何とかテンポだけは重視して作ったものだが不安が残る。

Round 7
 vs. Itaru Ishida / 0-2

 プレイヤーとして最低の状態になっている私を倒すことは、この方にとっては道端の石ころを蹴飛ばすくらいに簡単なことだっただろう。相手のブン回りとこっちの事故で試合はすぐに終わってしまった。

Round 8
 vs. Takuya Oosawa / 0-2

 一日目と同じような組み合わせになった。ただどうしてもモチベーションの上がらない私がこの偉大なるプレイヤーに勝てる見込みはほぼ無く、7戦目での敗退とほぼ同じような負け方をし、最終戦に決勝進出を賭けることになった。

Round 9
 vs. Kazuyoshi Anan / 2-0

 この大会で最初に言葉を交わしたのが彼だった。確か九州の代表の方で負けてはいたが力強いプレイングは私には無いものだった。久しぶりに見た「マジック大好きオーラ」に触発されたのか、勝手にライバル視していた相手とこの決勝ラウンド進出をかけた局面で対戦することになったからなのか、今大会で初めてモチベーションのボルテージが最高潮になる。

 試合もかなりの好勝負になった。相手はやはりプレイングは完璧で地元にはいないプレイヤーであった。何とか除去でいなして一本目を取り、二本目は《》をトップデッキし、《結核/Phthisis (TSP)》を打ち込んで何とか勝利することができた。

戦跡
オールカードドラフト

 こうして総合成績5勝3敗1分けの暫定4位で決勝ラウンド進出を決めた。予選1位の石田さんが7番目のピックを選んだことから、私は1番目のピックになってしまった。

 当初、ファーストピックを《合同勝利/Coalition Victory (TSB)》にしようとしたがギャラリーが多かったこと、あと、ファーストピックの写真を撮影するなどの諸事情によりアホネタは封印することになった (※編注4) 。

 結局、ピックしたのは《分解》である。もっと細かい記事はタカラのページのほうが詳しく載っているだろう。2ヶ月前から私はオールカードドラフトは赤緑でいこうとおもっていたわけで初手《分解》ピックはその大義名分になった。そして、組んだデッキは以下のような構成になった。

RG Rochester Deck
Time to say goodbye
All Card Rochester Draft (TSP) : Played by Satoshi "オサ" Kobayashi
■ メインデッキ (40枚)
 5  森/Forest
 12 山/Mountain

 1  玄武岩のガーゴイル/Basalt Gargoyle (TSP)
 1  ボガーダンの憤怒獣/Bogardan Rager (TSP)
 1  機械仕掛けのハイドラ/Clockwork Hydra (TSP)
 1  ダークウッドの足跡追い/Durkwood Tracker (TSP)
 1  大火口のカヴー/Firemaw Kave (TSP)
 1  炎核の精霊/Flamecore Elemental (TSP)
 1  流動石の媒介者/Flowstone Channeler (TSP)
 1  ケルドの矛槍兵/Keldon Halberdier (TSP)
 1  パーディック山のドラゴン/Pardic Dragon (TSP)
 1  クローサの英雄、ストーンブラウ/Stonebrow, Krosan Hero (TSP)
 1  厚皮のゴブリン/Thick-Skinned Goblin (TSP)
 1  チビ・ドラゴン/Dragon Whelp (TSB)
 1  スークアタの槍騎兵/Suq'Ata Lancer (TSB)
 1  ワイルドファイアの密使/Wildfire Emissary (TSB)

 1  フォライアスのトーテム像/Foriysian Totem (TSP)
 1  燃焼/Conflagrate (TSP)
 1  裂け目の稲妻/Rift Bolt (TSP)
 1  ワーム呼び/Wurmcalling (TSP)
 1  分解/Disintegrate (TSB)
 1  稲妻の斧/Lightning Axe (TSP)
 1  数の力/Strength in Numbers (TSP)
 1  硫黄破/Sulfurous Blast (TSP)
 1  運命の回避/Avoid Fate (TSB)

□ サイドボード (?枚)
 (不明)

準々決勝
 vs. Ryou Tazaki / 0-2

 彼は今回の優勝者である。自分のような相手は彼にとってはボーナスゲームだっただろう。まだまだ自分には磨く部分が残されていることが良く分かった一戦だったと思っている。

 この戦いに敗れ、私は6位で Limits 本戦を終了することになった。

Limits 本戦総括

 三流化学者として仕事に打ち込む中で、マジックにかける時間が極端に減少したが、良くここまでたどり着けたと思う。

 ただ課題は多い。Finals に参戦した長野のトップである大西、手塚はほぼ惨敗という結果だったわけだし、私もシールドで運よくゴッドパックをもらっただけと解釈すれば芳しい成績とはいえない。本当にまだまだ未熟だ。ただ今回で得たものは非常に大きい。これを糧にして細く長くマジックを続けていきたいと思った。

 最後に、現地で私をサポートしてくれた仕事人と KeJ にはとても感謝している。日陰のプレイヤーがこれだけの結果が残せたのは君達のおかげだと思う。

管理人による注釈

※編注1
 北信丸山流後継者って肩書き、初めて聞きました (笑) 。

※編注2
 北信 MTG プレイヤー集団「大西家」の家主、Freia 氏の事。

※編注3
 第1回オールナイトマジックでやった位?

※編注4
 賢明な判断だと思います (笑) 。